皆さん、ご機嫌いかがでしょうか?
あっという間に4月ですね。
「再会」イベントから早3ヶ月以上経ち、もうすぐDVDが手元に届くようです。
あの「感動」を、あの「再会」をもう一度ですね。
さて、前回はアドベントカレンダーとして書かせていただいた照明講座。
需要があるか無いかは知りませんが、なんとなく書きたくなったので第2弾です。
前回は「色」についてお話しましたが、今回はもっと踏み込んで「照明機材」についてご説明していきます。
ただ、一言に「照明機材」と言っても、ものすごい数の種類がありますので、
今回は「再会」イベントで使われていたであろう機材を紹介していきたいと思います。
(注意:筆者は6列目右端から2番目から見ておりますので、視認できる範囲で確認出来た機材を前提にして進めていきます。)
それでは始めていきましょう。
スポットライト
1つ目は「スポットライト類」からです。
スポットライトとは、レンズがついている舞台で使われる照明機材の総称です。
よく皆さんが耳にするスポットライトとは恐らく少し違うと思いますが、またおいおいご説明しましょう。
平凸レンズスポット
光源(電球)の前に平凸型レンズがついたスポットライトです。
またの名を「プラノコンベックスライト」と呼ばれ、業界一般では「凸(とつ)」と呼ばれています。
平凸型レンズというのは、虫眼鏡をスライスしたような形で、光源側が平らで反対側が凸型の形状をしています。
光がこのレンズを通ることで、ある程度輪郭が見える丸い光になります。
また、このレンズが前後にスライドすることで、光源との距離が変わり、当てる範囲を調節できます。
ほとんどの劇場、会館、ホールにあり、様々な用途で使われれます。
フレネルレンズスポット
先程の平凸レンズと形状は近いですが、フレネル構造のレンズが付いたスポットになります。
「フレネル」とそのまま呼ばれます。
フレネルレンズというのは、同心円状に凹凸がついたレンズで、
厳密に言えば少し違うのですが、水面にできた波紋のような形状をしているといえば、わかりやすいでしょうか。
この構造のレンズを使用することで平凸レンズよりも光が拡散するので、広い範囲を照らすことができますが、円の輪郭が非常に不鮮明になります。
この機材もレンズが前後に動き、大きさが変えられます。
平凸も同様ですが、大きくすると拡散し光量が減り暗くなり、小さくすると集光するので光量が増え明るくなる特性があります。
凸よりも輪郭が不鮮明なので、並べてフラットなベース明かりなどに使います。
上記の2種類はどの劇場、会館、ホールにも大抵あります。
特殊な機材を使えない場合は、この2種類を駆使して照明を作ります。
エリプソイダルスポット
少し言いにくい名前ですが、光の輪郭がはっきり出せる機材を指します。
略して「エリ」と読んだりします。
今回はその中でも「ソースフォー(以下S-F)」という機材が使われていました。
この機材はピント調節(フォーカス)ができ、輪郭がくっきりとした円が出せます。
逆にわざとぼかして使用することも出来ます。
なおかつ、上下左右にカッターと呼ばれる、お好み焼きの小手(笑)みたいなのがついており、それを内側に押し込むことで、四角くしたり細長くしたりでき、照らすエリアを切り取ることが出来ます。
そして、金属板(主にステンレスやアルミ)もしくは耐熱ガラスで作られた模様がついた種板(ネタ)を光源とレンズの間に差し込むことで、影絵のように模様を出すことが出来ます。
単純に対象に模様や文字を出したり、ビームを利用して木漏れ日を作ったりという使い方もできます。
PARライト
PARはそのまま「パー」と読みます。
PARとは「Parabolic Aluminized Reflector」の略で、「パラボラ状のアルミ製反射鏡」という意味です。
今までのスポットライトと違い、電球単体ではなく、反射鏡とレンズがついたシールドビーム球が筒の奥に入っている機材です。
シールドビームなので、大きさやピントを調整できません。
前述のスポットライト達は基本的に円形の灯りが出ますが、このPARライトは電球のフィラメント(中でくるくるしてるやつ)の形がそのまま細長く出て、シールドビームの表面構造(主に3種類)によって、その細さを調節できます。
スモークと併用することでビーム演出ができ、20年前くらいからムービングライトが出始める前は、ライブやコンサートでは主力の機材でした。
ミニブルートライト
先程のPARライトのシールドビーム(広角)の小型の物が筒の中ではなく並んで配置されたライトです。通称「ミニブル」
写真は2つですが、他に1,4,6,8,9,12と、たくさん並んでいる機材もあります。
筒に入っていないので、非常に広い角度で照射され、今回のように舞台前方に客席向けでつられ、客席を照らす事に使います。今回も2台使用。
他には、ライブなどでステージ奥から前に向けて「目潰し」として使用することもあります。
クセノン(キセノン)フォロースポットライト
通称「ピンスポットライト」です。設置する場所によって「センター」「フロント」「サイド」「バック」ピンと呼ばれたりもします。
今回のは「センターピンスポットライト」ですね。
おそらく皆さんがイメージされるスポットライトとはこれのことでしょう。
客席後方、もしくは上部からステージに向けて使用します。
前述までのスポットライト類はハロゲン電球を使用していますが、この機材は遠距離から照らすのでクセノンガスが封入された放電管を使用しています。
(注:この放電管はとても明るく、レンズもフィルターも通さず直視すると失明の恐れがあります。舞台に届くまでには減光されるので、演者に影響はありません。)
この機材は1台につき、操作する人が1人付き、対象を追従します。
今回は正面から2台使用していました。
サイズ、明るさ、フォーカス等、手動ですがかなりの設定ができ、灯体の前にカラーフィルターを入れることで、色を変えたりも出来ます。
Turbo PAR
「ターボパー」です。
PARと名前がついていますが、前述のPARライトとは違い、シールドビームではなく、普通にハロゲン球が使用されています。
CMY(前回の照明講座を参照)のフィルターが内蔵されており、それを組み合わせることで遠隔操作で色を変えることが出来ます。
また、光源が前後するので、ある程度のズーム(照射角の変更)も出来ます。
制御はDMX信号(照明制御規格)でコントロールできます。
イベントでは舞台奥床に前向きに置かれ、バックフット(空間を染める照明)として使用されていました。
Coloram
番外編ですが、「カラーチェンジャー」や「スクローラー」と呼ばれるもので、これ単体では光は出ず、機材の先端につけて使用します。
メーカーや型番が定かではありませんが、おそらくこの機種だと思われます。
中に、カラーフィルターを連結させたロールが入っており、それを動かして色を変える仕組みと、CMYの3つを組み合わせて色を作る仕組みの2種類があります。
今回のイベントでは前者のものがPARライトとソースフォーについていました。
最近ではLED機材に取って代わられた存在ですが、セカンドチョイスとして今も使用されています。
ムービングスポットライト
昨今のイベントでは欠かせない、自由自在に(というわけでもないが)動くライトです。
最近ではLEDの機材も増えましたが、イベントでは昔ながらの放電管タイプでした。
MAC700 Profile
少し距離があったので確証は無いのですが、目視できたシルエットはこの機材だと思います。
これがあれば何でもできる!というわけでも無いですが、いろいろ使えて便利なやつです。
照らす場所はもちろん、大きさ、明るさ、色が変えられ、前述のS-Fのように模様を数種類出すことが出来ます。
任意に動かせるので、調整もすばやく、言ってしまえば公演中の調整も可能です。
これもDMX信号を使いコントローラーで操作します。
イベントではステージ上に4台吊られ、動いていたので皆さんも存在は確認できたと思います。
全体を照らしたり、一箇所に集めたり、客席に動かしたりしてましたね。
LEDライト
説明するまでもなくLEDを光源に使用した機材です。
前述のハロゲン球や放電管に比べ、使用電力が非常に低く発熱も少ないので様々な場面で重宝されています。
今回確認できたのはこの2タイプ。視認出来ない機材もありました。
この機材も多数のメーカーから、様々な機種が出ているため断定が出来ませんでした。
恐らく、ビームを出すPARタイプと、地明りなどに使うWASH(染める)タイプだと思います。
写真の白い粒のところにそれぞれRGB(W,DB)のLED素子が配置されており、それぞれの値で混ぜること(前回の照明講座参照)で様々な色の光を出すことが出来ます。(ストロボも可)
今回は舞台頭上に吊られていたものと、舞台床面からジョーゼット(後ろにあった布製の柱)を染めていたものがありました。
調光卓
照明を操作するコントローラーです。
一般的に、「0〜100」のレベルを無断階に調節できる「フェーダー」にそれぞれの灯体を割り当て(パッチ)、それを組み合わせて明かり(シーン)を作っていきます。
各会場には必ずありますが、今回のように持ち込む場合もあります。
Avolites Pearl 2008/2010/Tiger
これは直接客席で見たので間違いないですね。
英国Avolites社製のライティングコンソール(照明調光卓)です。
ムービングやLEDを操作する際のコントローラーもたくさんのメーカーが出しています。
今回のAvolitesもメジャーなメーカーです。
イベントではC席中央のオペレーティングエリアに設置されていました。
時間に余裕がある場合は、仕込みの後、リハーサルまでにプログラミングする必要があるのですが、
今回のように設営に時間が無い場合、予めプログラミングをして来る場合もあります。
スモークマシン
ステージ照明において欠かせないもの。
光の筋が見えるのは薄っすらとスモークを炊いているからです。
これがあるだけで一気に照明が派手になります。
霧状、霞状、煙状と用途によって使い分け、使用するリキッドにも水性と油性があり、油性のものを使用する際は自治体によって、事前に消防署に申請が必要になります。
(たまに、このスモークを使うと咳き込む方がいらっしゃいますが、成分的に人体に悪いものは無く、視覚的要因が大きいようです。)
CONCEPT MK-VI
コンサートやライブで使われる、最もポピュラーなスモークマシン。
専用のリキッドを加熱し、炭酸ボンベを使って圧縮することでスモークを出します。
使用するリキッドは油性ですが、食品を製造する機械に使われる、通称「ホワイトオイル」を使用するので、人体に悪影響はありません。
今回は下手袖に置かれ、1部の途中、歌パートに入る前に出てましたねw
使用例
さて、「今回イベントに使われていた」であろう機材の説明をざっくり(と言っても、それなりに長文で)説明させていただきました。
他にも、作業灯や客電等ありましたが、割愛させていただきます。
では、この機材達は実際どのように使われていたのでしょうか?
公式ブログ等に載せられた写真から見ていきましょう。
まずはこちらの写真。
イベントに参加された方はわかると思いますが、1部のアフレココーナーですね。
舞台中央のスクリーンにゲーム画面が映され、舞台上手(舞台を正面から見て右側)のキャストの皆さんがスタンドマイクで生アフレコをするというものでしたが、
まず目に行くのが2枚めの写真の床に出ている光の円。
これは舞台用語で「サス」と呼ばれ、上から光を落とす事でその部分だけ浮かび上がらせたい時に使われます。
主に「凸」が使われますが、輪郭をハッキリさせたいなら「エリ」で、
逆にぼかしたいなら「フレネル」を、数が多い時は「ムービング」を使う場合もあります。
ただ、この「サス」だけでは、真上からの光なので顔が暗くなってしまいます。
そこで今回は「ピンスポットライト(以下、ピン)」が使われています。
1枚目の写真、愛さんの上半身が下半身に比べて明るく見えると思います。
これは客席後方から上半身だけ照らしているのです。
「ピン」で対象を照らす事を「フォロー」といいます。
顔を照らすだけならば、客席の上にある「凸」を小さく絞り込んで使うこともできますが、今回は演者の身長や立ち位置が様々なので、随時調整できる「ピン」による「フォロー」となったわけです。
(ちなみにこのピンの操作は手動で行われるため、遠距離から人の上半身だけを照らすには、少々の練習が必要ですw)
さらに、分かりにくいですが、奥の舞台上が微かに青く見えます。
使用機材は断定できませんが、恐らく「LEDライト」もしくは「フレネルレンズスポット(以下、フレネル)」を使用してると思われます。
「LED」の場合はフルカラーですが、「フレネル」は電球色なので濃い青色の「カラーフィルター」を使用します。
舞台を青く染める事はよくあることですが、理由は、
「暗転だと暗すぎるため」だったり「見栄え」だったり、「バミリ(立ち位置テープ)を見やすくするため」など色々あります。
もう1枚見ていきましょう。次はこちら。
エンディング間際、クラウドファンディングのストレッチゴール達成で実現した、白を貴重としたオリジナル衣装のカットですね。
情報量が多いのですが、まず舞台全体が明るいのは客席の上にある「凸」が舞台全体を斜め上から照らしているからです。
この位置にある機材の総称を「シーリング」と呼びます。
この「シーリング」というのは、設置されている場所を指し、機材の種類は問いません。
一般的には舞台全体の前からの明かりや、対象物に小さく絞り込んで浮き上がらせたり、用途は様々です。カラーフィルターをうまく合わせる事で衣装やセットを染めたりもできます。
そして、舞台に寄った写真がこちら。
皆様素敵ですね〜・・・( ゚д゚)ハッ!
さて、ぱっと見て舞台の上にカラフルな光の筋が見えると思います。
これは「PARライト」や「LEDライト」の光が霧状のスモークに当たって見える光の筋です。
スモークが無いとこのようにハッキリと見えません。
さらに写真左、ちょうど麻里子さんと純子さんの間、足元から上に向かって他よりもさらに細かい光の筋が見えると思います。
これは「ソースフォー」に種板が入った状態で出る光の筋です。元々は木漏れ日など表現する為に使われていましたが、ライブなどでは細い光がランダムに見えるので、ビーム的に使ったりもします。
舞台奥にある、4本の白い柱。
これは「ジョーゼット」と呼ばれる、少し透ける薄い布で、光を当てるとよく染まる素材でできています。
この足元にも「LEDライト」が上向きに置かれ、演出として色が変わったりしていました。
(´-`).。oO(個人的には、MCなどせつなさブレード並みに色を変えてもらいたかった・・・)
最後はこちらの写真。
最後に撮った集合写真ですね。
さっきの写真の逆、舞台奥から客席を撮った絵ですね。
ワイドレンズで撮ったせいか、端がだいぶ歪んでますが(^_^;)
天井が2ヶ所明るく見えると思いますが、これは「ミニブル」で客席を照らしている漏れ明かり(ハレーション)です。
その天井にたくさんついて、こちらを照らしている機材が「シーリング」です。
さらに両サイドに5つずつ見えるのは「フロント(サイドスポット)」といいます。
ここにも殆どの場合凸が使われています。
(式典などの看板当てように「エリ」が吊られてる場合もあります。)
使い方はこれまた様々ですが、主にナナメ45度から照らす「レンブラントライト」の役割をこなします。
説明すると長くなってしまうのですが、上からと前からの照明だけだと、対象物が平面的になってしまいますが、ナナメ45度からの照明を補うことで、より立体的に見せることができます。
床に出ている縦長の光が「PARライト」の光の筋ですね。
ちなみに、真ん中から出ている青い光は、映像さんのプロジェクターの光です。
スモークを使うと、映像にも光の筋が付きますw
ほんの一部ですが、このように様々な機材を組み合わせて、照明を作ります。
同じ機材でも、使い方によってはいろんな効果があります。
限られた時間と予算と機材でプランを考えるのが照明さんのお仕事です。
(´-`).。oO(濱田さん・・・今回の予算の内訳が気になるわ・・・)
さて、まもなくDVDが手元に届きますね。
いろいろプレイバックしてきて、感動の嵐でしょうが、
きっと私はTVの前でツッコミを入れまくっているでしょうw
DVD視聴5回目くらいにこの話を思い出していただければ幸いです。
ではまた。
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